笑うマトリョーシカ

いつも乗る特急がトラブルにより運休となったため各駅で新宿を目指すことになり時間を潰す本を要し、ちょうど箸休め的にこれまで読んだことのない作家の本を読もうと思っていたことも重なって、本屋を彷徨いて見つけたのが「笑うマトリョーシカ」。

それぞれ家族に人には言えない事情を持った2人の高校生が、利害を一致させ、政治家になり官房長官を目指す話だが、これは青春を謳歌する群像劇などではなく、得体の知れない思惑が交錯するミステリー。

主人公である清家一郎を操り政治家としての道を推し進めるのは、友人の鈴木なのか、一郎の母親、浩子なのか、あるいは恋人の三好なのか。

タイトル通りマトリョーシカよろしく、何層にも重ねられた仕掛けは最後の最後まで楽しませてくれるし、決して期待を裏切らない。

面白すぎて映像化されてるだろうと思ったら案の定ドラマ化されていた。ただドラマの評判はいまいちのようで、民放のテレビの枠でやるには無理があるよなと納得ではある。

ドラマを見てしまったら原作の面白さが半減してしまうと思うので、気になった方は是非とも原作から。